悪人だけどイカ食いてぇ

2010.07.28.
友人が北欧旅行中に我が家へ寄ってくれ、膨大な量の本を寄贈してくださった。 海外生活では日本の文字、紙に印刷された活字に飢えるので、本当に嬉しい。 ありがとう~!

暑い夏の昼下がりは、麦茶片手に読書三昧。

中の一冊(文庫版だから上下2冊なんだけど)に『悪人 吉田修一』があった。 この小説は日本に里帰りしていたとき、当時某新聞に連載していたものを数週間分読んで、とても気になっていたもの。 そのことを知っていて、忍ばせてくれたんだ。 本当にありがとう~!

悪人(上) (朝日文庫)悪人(上) (朝日文庫)
(2009/11/06)
吉田 修一

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もったいないからちょっとずつ読みたいと思うが、ページを捲る手は止まらない。 切なさを通り越したやるせなさが静かに心の中に沈んでくる。

悪人(下) (朝日文庫)悪人(下) (朝日文庫)
(2009/11/06)
吉田 修一

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ふと、ページを捲る手が止まる。 ああ、この箇所を日本で読んだ。 そして、あのときも、同じことを思った・・・

「イカ食いてぇ」

主人公が、相思相愛になった女性を前に、自分が犯した罪を告白する。 場所は、海が見渡せるイカ料理の店。 白い皿に色鮮やかな海草とともに盛られた見事な生き造り。 のた打ち回るイカの脚が、殺人の独白にグロテスクさを醸し出す。

しかし私は、「脚やら残ったところは、あとで天ぷらか揚げにしますけんね」という給仕のおばさんのセリフに魅せられる。

「おいしそぅ」

私は、イカは刺身より焼いたり揚げたり干したりする方が好きかなぁ。 夫は、イカは特に刺身が好きみたいだけど、おつまみ系のイカはダメなんだよね。 臭いが耐えられないと。 

カルシウムと鉄分補給のため、私が「食べる煮干」を齧っていると飛び退るし。 やめられないとまらない某えびせんも、臭いが嫌だから食べられないことが判明。 (日本から送られて来る御菓子は仲良く半分こにしてるけど、これは私が独占できる!)

主人公達は、結局イカには手をつけず店を出る。 私の胸は重苦しくも、頭ではイカのことを考え、口には唾が湧く。

海外生活では常に日本の食べ物に飢えていますが、活字による描写はさらに想像力と食欲をかきたてられます。
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コメント
びよさんへ
ときどき、ひっそり、開いていることがあります、コメント欄(笑)。 でも、ご返事が遅めなので申し訳ない。
読書家びよさん、単行本で既に読破してらしたのね。 この作家、私らと同年代なんだなー。 それで、どこか感性が一致(?)するのかも、と思いました。
重苦しい内容ながら、愛の逃避行など、なかなかエンターテイメント性もあるので、映画だとそっちがメインになっちゃうのかな。 
> 妻夫木くんと深津ちゃんで映画化されるそうです。
もう、日本の俳優とか芸能人とか、名前聞いてすぐにピンとくる人が少なくなっている・・・ 「おくやみ」に出てくるような人ばっかりに反応するようになって・・・ 
やっぱりイカも出演するんだろうか?
あら。
おっと、てっきりコメント書けないもんだと思って、最近全然参加してなかったわ。
「悪人」、私は分厚い単行本の時に読んだわ。
吉田修一って、コレ読む前に他のも何冊か読んでて全然ピンとこなかったなけど、これは面白かったな。
ん?面白かったって言って良いんだろうか?
妻夫木くんと深津ちゃんで映画化されるそうです。
まぁ、イメージとしては悪くない気がする。たぶん見ないけど(笑)。

らくだのせなかさんへ
写真よりも文字の方が想像力膨らみますものね。 昔の翻訳ものの物語に出てくる食べ物は、想像もつかなかった分、ものすごく妄想が広がったなー。

らくだのせなかさんのとこも、イカは刺身が一番ですか。 あっ、煮魚、分かるような気がする・・・ やはり匂いですか。 ちょっと生臭さが出てしまうからかな。 生の刺身の方が臭いませんもんね。
じゅるり
そうそう、写真よりも文字から掻きたてられる想像力で食欲が増すことって、ありますね。
Gunvaldさんも書いていらっしゃる、ちびくろさんぼや、ぐりとぐらのパンケーキは、代表格かも。

イカなんですが、うちの夫も刺身が一番好きなようです。私は、ゲソを網で炙って、塩をふって、レモンをぎゅっと絞って食べるのが好きなんですけどね。
一番苦手なのは煮魚らしく、台所に匂いが漂うのも嫌だという理由で、作らせてもらえません。

あ~、イカ食べたい病が伝染しちゃいました。
sarahoctavianさんへ
麦を焦がしたものって、コーヒーの代用品だったのですね。 そりゃ、コーヒーと思って飲んだら不味いでしょう・・・ 味が全然違うって。 麦茶として飲むから香ばしくて美味しいのだ。 ドングリコーヒーも当時は有名だったよう。 
そうそう、貴重な和食のお裾分けは相手を選ばないと!ブタに真珠ですよねー。
我が家では麦茶を飲むのは私と息子だけです・・・。義父母にとってはやはり戦時中のコーヒー代用品と連結しちゃうみたい。当時はドングリも使用されたそうね。あ、それから変なんだけど、緑茶もへたすると魚の味がするとか言うのよ~。以前抹茶ケーキをおすそ分けしたら超不評でした(憤慨)。我が夫はそういうこと言わないけど・・やはり大好物ではない。まあ、無理に食べろとは言わないわ・・こんな美味しいものは私(と息子=彼は納豆以外は何でもOK)が独り占めするもん。
Gunvaldさんへ
中学か高校のときの地理のプリントに、アラスカでだったか「生きたカリブーにハエが卵を産みつけるので、イヌイットの子供がカリブーの皮膚を指でぐいっと押すと中から大きな蛆虫がでてくる。 イヌイットの子供は嬉しそうに笑って、それをおやつとして食べる」という話が載っていました。 食べたいか美味しそうかは別にして、今でも印象に残っている食べ物の(??)話です。 その地理の教師は、授業の初っ端にそんな話の載った自主制作のプリントを配ったので、生徒たちから「カリブー」と呼ばれていました。 (カリブーって、トナカイの別名なんですね。)

うちのは「暑い日の冷たい麦茶はさっぱりするな~」なんておいしそうに飲んでいますが、戦争を知らない子供たちだからでしょうね。 今は健康に配慮してカフェイン抜きのコーヒーとか、たんぽぽコーヒーとかありますが、代用コーヒーを知っているドイツの伯母さんたちは、そんなものには顔をしかめていたなー。 
実物の味を凌駕する
古くは「ちびくろサンボ」にでてきたパンケーキから本の中に出てくる食べ物は想像力がそうさせるのか時には実物の味を凌駕することがありますね。まあ中にはそう思えないものもたまにはありまして、確かC.W.ニコル氏の本で読んだかしたイヌイットのアザラシのお腹の中に小鳥を詰め込んで土の中に埋めたものを数か月後に掘り起こして良い具合に発酵した鳥の内臓をお尻の穴から吸い出すという料理(?)はどう想像しても美味そうには思えませんでした。

冒頭の麦茶で思い出しましたが戦時の体験を持つドイツ人は麦茶の味で耐乏生活を思い出すらしく(代用コーヒーの味か?)麦茶を好まないという話を読んだ記憶があるのですが本当でしょうかね?

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