出る杭が無い国 Jante

2009.02.28.
スウェーデンの新聞や雑誌のコラムなどで、時折「ここは Jante の国だから」とか、「Jantelagen 云々」と書いてあるのを見かける。

瑞英辞書には載ってない、人の名前みたいなこの単語の意味が分からず、「Jante(ヤンテ) って何?」と夫に聞くと、

「Jantelag(ヤンテ法)のことでしょ。 ”自分を人より優れていると思ってはいけません”っていう、スウェーデン社会に蔓延している暗黙のルール」

あ~、分かる! 日本にもあるよ、 ”出る杭は打たれる”って。

「ん~、それとはちょっと違う。 杭が出ないように自制するのが、Jante法」

Jante法は10か条あり、自分を特別な存在だと思うな、自分を我々より賢いと思うな・・・ ということが書いてある。 つまり、自分を信じて成功を夢見てはいけないんです。 目立たず、社会を乱さず、与えられた状況の中で、皆と横並びに生きていかなきゃいけない。

Jante法の出所は、デンマーク/ノルウェー人作家 Aksel Sandemose (1899-1965) が1933年にノルウェー語で発表した小説。 (これが分厚い上に3部作で・・・)

Jante とは、彼が生まれ育ったデンマークの小さな町をモデルとした架空の町。 しかし Jante は、北欧(デンマーク・ノルウェー・スウェーデン)のどこにでもある一般的な町。

昨今は「北欧モデル」などと良いイメージで取りざたされている北欧社会ですが、一昔前は、欧州の片隅にある貧乏な国に過ぎず、不毛な大地に点在する村々は、とっても閉鎖的でした。 その風刺を込めて Aksel Sandemose が箇条書きにしたのが Jante法。

この Jante法は、今でも潜在的に北欧社会にある。 

でも、良きスウェーデン市民になるため半ば強制的に通わされた「SFI(移民のためのスウェーデン語=語学よりもスウェーデン社会について学ばされ、恐ろしくレベルが低く、通うものを鬱にさせる学校)」では、Jante法について習わなかったな。

「Jantelagen はネガティヴなものだからね」

やっぱり、あの学校って都合のいいことしか教えないのね。
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コメント
sueさんへ
えっ、sueさん北欧に憧れていらっしゃるのですか!?
何事も遠くから憧れの眼差しで見ているうちが花です(笑)
ご無沙汰しています。
今日のエントリーは、勝手に北欧に憧れがある私には興味深いものです(笑)
日本の出る杭打たれるのも嫌ですけど~、出ないように自生するっていうのもすごいですね、、
ん~でも今日のエントリーで北欧の色んな事に納得なんて思えました。
NaokoTBさんへ
初めまして! コメントありがとうございます。

デンマークは北欧の中でもJanteから抜け出した国かなと思っていたのですが・・・ 実際は、やはり今だ社会の中で感じてしまうものなのですね。 う~ん、根強い。 全体的に他人に無関心なのや、「注意するべき時でも言わない」っていうのも(←注意したくなっちゃうのは、私がおせっかいだから!?と思っていたが)、Janteからきているんですね。 
デンマークからのご意見をお聞きでき、とても興味深かったです。 ありがとうございます!

私も最近、布物のハンドメイドをちょっと始めたとこだったので、NaokoTBさんのブログを参考にさせていただきたいです♪
らくだのせなかさんへ
エゴイストであることが求められるのが欧米社会かと思ったら、北の果てに行くと、こんな国もあるんですね。 

うーん、どこの国にでも「語学&社会オリエンテーションのコース」って、似たような状況になってしまうんですね。 なんというか「大人のための幼稚園」というのがピッタリなとこでした。 私は、教師役であった現地人たちのレベルの低さにも驚きましたが・・・
はじめまして
初めましてこんにちは。お隣デンマーク在住のNaokoTBと申します。少し前からこっそりとブログ拝見させてもらってます!!

ヤンテ…こちらでもよく耳にします。日本の「出る杭は打たれる」とは本当にちょっと違ってますよね。スウェーデン人とはまたちょっと違うかもしれませんが、デンマーク人のヤンテローン的性質はちょっと苦手です。「自分を特別と思うな」の考えから何と言うか…人をあまり褒めない「あなた、自分が特別だと思ってるの?」と言う感じが苦手です(でも褒めない代わりに悪くも言わないんですけどね。「人は人、私はあの人の事をとやかく言う程特別な存在じゃないわ」と言う感じ。注意するべき時でも言わないのですが…)
良い意味で使われてると「協調性」「平等性」を学ぶ良い考えだと思いますが、勿体無い使われ方の気がします。(小さい国ですが、人それぞれ違うので、偶然私の周りだけかもしれませんが…)

初めてのコメントがこんな内容ですみません。でもいつもお隣なのにちょっと違う文化や習慣、時々出てくるコペンの事など楽しく拝見させてもらってます。これからも楽しみにしていますね。
フムフム
Jante法とは、面白い考え方ですね。
エゴイストが多いドイツ人には、たまには見習って欲しい感覚です。

移民のための語学&社会オリエンテーションのコース、ここでも2005年から義務化されてますよ。きっと、他の国々の真似をしたんでしょうが・・・。
私は、義務ではなかったけど、興味があったので通ってみましたが、ありゃ、いろんな意味で考えさせられるコースでした。大人としての社会ルールから学ばなければならないレベルの人もいたりして、移民問題の奥の深さを感じました。
tulpさんへ
日本人には理解しやすいJante法ですが、ネガティブに受け止められているというのは、やはり個性は尊重されるべきいう意見が主流だからでしょうか。 

あはは、移民を多く受け入れている国には、どこにもあるんですね、「言語+社会」のコース! しかも、コロコロ規則が変わるとこまで同じだ・・・ マイナー言語だと、勉強意欲も湧かず、義務付けられないとやる人いないかも。
kanaさんへ
スウェーデン社会って独特というか、この国の共同体で生まれ育った人間しか理解できない事柄ってありますよね。 また、この国の人間にしてみたら、その考えが特殊だとは思わないだろうし。
人の考え方や感じ方も違うし、若干の地域差もあるだろうからブログに書くのはどうかと思ったのですが、kanaさんにそう言っていただけ、kanaさんの感じていることも教えていただけ、嬉しいです!
今はアメリカのカルチャー(というかテレビ番組)も沢山入ってきているし、若者達にJante的な面はあまり感じないけれど・・・ それでも、なくなることはないんでしょうね。 今日でも、ちょこちょこJantelagenが取り上げられるということは。

スウェーデンは広いので、なかなかお互いお会いすることができませんね。 日本ってやっぱりコンパクトだから、いいな~。
Jante法、初めて知りましたが、面白いですね♪

内容的に日本人にとってとても理解しやすいですよね。
ただスウェーデンでは基本的にネガティブに受け止められているのがやっぱりちょっとちがうところでしょうか。

そうそうオランダにもやはり移民に義務付けられているオランダ語コースありますよ!(とはいえコロコロ規則が変わるので、今でも完全に義務なのかよくわかりませんが・・・)
やはりオランダ語+オランダ社会の組み合わせで、
語学の授業でも「保険に入る」「仕事を探す」「苦情を言う!」などやたら実生活に即した場面設定が多かったです(笑)
勉強になります
ご無沙汰してしまいました!日本でキルナのYさんにようやくお会いすることができましたよーー♪(^^)

この考え方はJanteと言うんですね。以前から米企業にしか勤務したことがない私が納得がいかない部分があり、そのたびに文句を言うと、Aがこういう考え方があるからだとは教えてくれたものの、こうしてきちんとJantelagenとは教えてくれなかったので、このブログを読んでとても勉強になりました。

日本や米で良くある「成功した人のお家拝見!」って番組とかあるじゃないですか?あれを見るたびにAが「こういうのをスウェーデンでやったら、顰蹙なんだよ」って良く言ってます。それはこの考え方から来ているんですね。

私は個人的に、世の中には色々な人がいるので、一元化する事はできないと思うし、同じ考え方でいたら何も発展はしないと思うの。子供に夢を与えるためにもアメリカンドリーム的な事って必要じゃないのかしら??
めたるさんへ
>ただ自己主張の強い人イコール個性的は違いますよね?
流石めたるさん、鋭い。
能力もないのに、自分は個性的で才能があり、周りはそれを認めるべきだと自己主張ばかりする輩も多くて困ります。
sarahoctavianさんへ
「ここはスウェーデンじゃないんだ。 こんな小さな町でだって、道や店の真ん中でボケーとしてると、ドイツ人に肘で突き飛ばされるぞ」と、訪れた義父の故郷で、夫に注意されたことがあります。
道や店の真ん中で、ボーと突っ立って人の邪魔になっていても、誰も何も言わないのがスウェーデン。 でも、
Ellenbogengesellschaft
ドイツ人の義父は、ときどき、これをやりたくなっちゃうらしいのよね。 のらりくらりしているスウェーデン人の態度に激怒しちゃうのは、私もだけど。 (えっ、年のせいですか!?)
やっぱりスカンジナビア半島って僻地ゆえ、外国との軋轢も少なく、自己主張より自国内部で穏便に暮らす知恵が身に付いたのかもしれませんね。 日本人にとっては、その点ちょっとラクでもあるかな~。
そう無料で、国民の税金で外国人を教育してくれる。 ただし、移民の皆様も、その後きちんとした納税者にならなくてはいけません。
Mevrouwさんへ
そうですよね、日本人にとってJanteは理解できる社会です。 元々Jante法はネガティヴなものとして書かれましたが、Mevrouwさんと同様の見解から、肯定する意見もあります。 「個性尊重!」が、いつの間にか自分勝手なエゴイズムと化している今、なおさらですね。
アリスさんへ
この対極にあるのが、アメリカですよね。 やはりアメリカ的な発想やシステムを取り入れていこうという動きがあります。 しかし
>ここでは自分の能力を信じることが奨励されても、それを支える社会システムがありません。
という現実には、唸るしかありませんね・・・ いくら辺鄙な閉ざされたような村でも、教育は行き届いているので、辞書を抱えて歩くような人はスウェーデンにいませんし。

>弱者を置いてきぼりにしないというのは社会として大事なことだと思います。
アメリカには飛び級の制度があるでしょ? スウェーデンの学校では、それは禁止されているんだけど、「出来る生徒が出来ない生徒の犠牲になる必要はない、飛び級やエリートのためのクラスを作るべきだ」「いや、それは差別になる。 誰でも同じように扱われなければならない」といった議論があります。 どちらにも一理あるから、難しいですよね。

>他人を思いやるということもこれからの時代大切になってくる。でも、競争を否定してしまうと成長がなくなってしまう。
正にその通りなんです。 そして、これからどの方向に社会や世界が進んでいくのか分からない。 今、その岐路に立たされているのかもしれません。

日本を離れてこそ、日本は良い暮らしの国なんだと実感できますよね。 でも、つくづく思うのは「理想の国」なんてない、ということ。 理想って、現実になると、もう理想じゃなくなる。 そして現実とは、いつでも矛盾を抱えるものだから。
個性を発揮するのは難しい
 個性の強い人は叩かれる。それは日本人だけの特徴かなと思っていたら、海外のミュージシャンのインタビューなどを読んでいると欧米の人たちでも人と変わっていることで結構、孤立していたという人が多いので昔、驚いた記憶があります。個性を発揮するのはどこの国でも難しいようです。
 ただ自己主張の強い人イコール個性的は違いますよね?
スウェーデンってホント面白いお国柄。自己主張のカタマリみたいな欧州で、そんな気質が育った経過が知りたいわ。Ellenbogengesellschaft(肘チェックの入る社会・入れなきゃソンする社会)なドイツに住み付いて、しんどいな~と思うことよくありました。で、気が付いたら(特に里帰りした時にわかる・・)自分もずいぶん図々しくなってた。うん?これは年のせいかも?とにかく!Jante法のお話、また一つ興味深いことを聞きました~。ありがとうございます!ところでスウェーデンの移民はそのSFIとやらに通わされる・・国民の税金で外国人を教育してくれるってわけ?
一昔前の日本にも似ているような
「個性尊重!」とことさらに騒がれるようになる前の日本の教育は、Jante法のようなものだったと思います。謙虚が美徳とされ、自己主張は下品でした。ネガティブともいえるかもしれませんが、秩序を保ち、人々に落ち着いた向上心を持たせる効果を持つ考え方であるとも思えます。
うーん
へー、そういう考えがあるんですね、驚きました。
>不毛な大地に点在する村々は、とっても閉鎖的でした。
土地柄がそういう気質を作るのでしょうか。
この言葉ネブラスカの小さな町に当てはまります。生活の厳しさと閉ざされた世界。昨日、そういう町で育った私と同年の男性と話していて、いかに隔離されて教育の機会が得られなかったかを聞き、今も単語がうまく読めず辞書を抱えて歩いている姿を見て涙が出そうになりました。ここでは自分の能力を信じることが奨励されても、それを支える社会システムがありません。
スウェーデンの実態はわかりませんが、そういう土地柄の中で貧しい小国が生活水準をあげてきた方法は他の小国にも参考になるかも知れませんね。
Jante的な考え方の真意がどこにあるのかは分からないのですが、弱者を置いてきぼりにしないというのは社会として大事なことだと思います。他人を思いやるということもこれからの時代大切になってくる。でも、競争を否定してしまうと成長がなくなってしまう。
日本人の気質がなにかと否定されますが、それでも世界の中で現在の日本ほど総じて良い暮らしができる国は他にあるでしょうか。ガタガタになったアメリカを見て、エセ自由競争社会の失墜も見たような気がします。どうあるのが国の理想なのか、つくづく考えます。
私の中で、とってもタイムリーな記事でした。

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