ナポレオンケーキ Napoleonbakelse
ところで「ナポレオンパイという名前の認識もあるでしょ?」というRENEさんの言葉に、えっと思い、「日本国内限定の呼称だったとは知りませんでした」という件に、あれっと考え込んでしまったのは、実はスウェーデンに「ナポレオン」と呼ばれるケーキがあるからです。
甘いもの好きな夫の伯父がケーキ屋で買おうとした、長方形の生クリームの塊。 即座に「私、いらないっ!」と叫んだ代物。 あれは確か Napoleonbakelse (ナポレオンケーキ)と呼ばれていた。 記憶を思い起こしてみると、パイ生地で挟んであったか、苺ジャムがのっていたような気も・・・
日本のナポレオンパイ(ミルフィーユ)とスウェーデンのナポレオンケーキの相違を確かめたく、下僕に「余はナポレオンケーキが食べたい」と伝え、翌日、街中のケーキ屋を探し回り3件目でやっと見つけたと、夫が私に差し出したのが、こちらです。

茶色でゴワゴワ硬いパイ地の上に、カスタードクリームが塗られ、その上に泡立てた生クリーム、その上に板のようなパイ地、その上に苺ジャムが塗られ、さらにアイシングがかかってます。
ねぇ、これって、やっぱり、ミルフィーユ? 組み合わせとしては、ミルフィーユよね。 でも、方や日本のRENEさんが作ったものと、方やスウェーデンのケーキ屋で売られているもの、同じ名称で呼ぶわけにはいかない・・・
このパイ地が、また硬くって、上から押すと、スプーン(スウェーデンではケーキをスプーンで食べる)で切れず、横からクリームがぶにょーと飛び出る。 どうやって食べるのよ?と思ったら、上の板(パイ地)を外して、それだけ食べて、それからクリームをいただくらしい。 (絶句。)
それに、この生クリーム・・・ 定規で測ると3cmの高さはあります。

とてもじゃないけど、食べきれないので、半分残したのですが、この半分で幅6cmあります。 つまり幅6×12、高さ3cm分(容積)の生くりーむ。

スウェーデンに来てから苦手になったものが、この泡立てた生クリーム(ホイップクリーム)です。 スウェーデン人は、何の芸もなく、必要以上にクリームをケーキにぼってり使うのですが、1回2回食べただけで、受け付けなくなりました。
北欧のデザインを「洗練された」「オシャレ」「最先端」と称する向きがありますが、食べ物やお菓子に関してのセンスは、これですから・・・
マザリンの作り方

こちらのマザリンは、アプリコットの種は使われておらず、アーモンドだけのようです。 念願の、スウェーデン伝統のマザリンを口にして思ったのは、「おいし〜い♪と言うほどのものではないかな・・・」。 なんていうか、輪郭のはっきりしない、ぼやっとした味・・・ (それって、スウェーデンの料理全般に言えるし、スウェーデン人一般にも言えることですが。)
ケーキ屋さんによっても味が若干異なりますが、やっぱりDeliCatoのが一番おいしいかも。 レシピを見ると、手作りの方がいけそうです。
しかし私の興味は、前回いただいたコメントを読んでから和菓子へと移り、小豆を煮て大量の餡を作ってしまい、マザリンどころではありません。 レシピを載せておきますので、興味ある方は作ってみてください。
ところで、Mazarin という、このお菓子の名称ですが、17世紀フランスの政治家であり枢機卿のジュール・マザラン(Jules Mazarin)から取られた、という説がスウェーデンにあります。 マザラン卿が好きなお菓子だったとか。 Mazarin の発音は、スウェーデンでは「マサリン」になります。
Mazarin マザリンの作り方
マザリン Mazarin

Grundvalさんからのコメントで、
小説”警官殺し(POLISMO:RDAREN)”(マイ・シューヴァル、ペール・ヴァールー著)の中でマルティン・ベックが同僚と張り込みをしている途中にこんな場面がありました。
> 「いいとも。なにがいい? デイニッシュ・ケーキがいいかな?」
「ああ。それとマザリンを頼む」
ケーキ入りの袋を手にベックがもどってくると・・・ <
”デイニッシュ・ケーキ”はデニッシュ・ペストリーのようなものかと思っているのですが”マザリン”というものがどのようなものかが気になっております。
というご質問を受け、私は特に好きでもなく、自分で買うこともないマザリンを突如食べたくなりました。 (小説や読んでいる本に出てくる食べ物は、すぐ食べたくなっちゃうのよね。) 「デニッシュケーキ」が原文で何かも気になったので、図書館に行って警官殺し (角川文庫 赤 520-9)の原書をチェック。 件の箇所は・・・
- Jovisst. Vad vill du ha? Wienerbröd?
- Ja, och en mazarin, sa Kollberg.
(Ur ”Polismördaren” av Sjöwall & Wahlöö)
デニッシュケーキは、Gunvaldさんの察する通り Wienerbröd (ウィーン風パン)、英語だと Denish pastly、つまりデニッシュペストリーでした。 図書館の帰りには、マザリンも購入。
しかし一口食べると「この Mazarin、ヘンな味」。 これは、私が知っているマザリンの味でじゃない!
慌ててパッケージの原材料を見ると、アーモンドが入っていないではありませんか! アーモンドの代わりに「杏(アプリコット)の種」が使われている・・・
アプリコットの種って、苦味のあるアーモンドの香りに似ているので、お菓子の香り付けによく使用されます。 スウェーデンでの使用量は微量だけど、デンマーク人はこの「杏の種」の味や香りが好きみたいで、大量に使われていること多し。 大陸でもよく使われるようで、ドイツで買ったイタリア製のマカロンを食べたところ、アーモンドは一切使われずアプリコットの種のみでした。 独特の香りがキツ過ぎて、あまりおいしいとは思えないんだけどなぁ。

今回ドイツ系の安売りスーパーで買っちゃったのよね、このマザリン。 4つ入りで11kr。 本物のスウェーデンのマザリンをスーパーで購入するなら、Deli Cato (スウェーデン王室ご用達のお菓子メーカー)がお勧めです。 (4つ入りで25krするけど。)
また材料さえ揃えば、家庭でも簡単に作ることができる(ように思う)ので、レシピを載せておきますね → マザリンの作り方へ
Spettkaka スペッテカーカ

こちらは、私たちの結婚式での Spettkaka。

この見た目から想像するのは、ドイツのバームクーヘン。 製造方法はほぼ同じで、鉄でできた円筒に、生地を絞り袋から練りだしながら塗っていき、周りが火で焙られ硬くなっていく上に、どんどん生地を重ね塗りしていきます。 だだし原材料は、新鮮な卵、砂糖、片栗粉のみ。 なのでバームクーヘンのような、ふんわり柔らかい歯ごたえはありません。 お味の方も、バームクーヘンからは程遠いです。 とっても軽く、バリバリ、ボロボロ崩れるので、切るのにも一苦労。
ドイツのバームクーヘンは一寸も違わずきれいな年輪ができているのに比べ、スウェーデン(スコーネ)のスペッテカーカは、形もかなりいびつ・・・ お菓子にも国民性が現れます。
復活祭のマーケットで、スペッテカーカ屋さんがお店を出していたので、小さく切ったサイズを購入。 これで35kr。 けっこう高いのよね。 まぁ、特別な製法で職人さんによって作られるものだから。

先日、北端に住む友人が旅行からの帰途、我が家へ寄ってくださったので、その時この銘菓をお出ししようと思っていたのですが、出しそびれてしまった・・・
で、後日、自分たちで食べました。 相変わらず、切るときバリバリ崩れ、口からはボロボロこぼれ、食べにくいですが、口の中に入ると、すぅーと溶けていきます。 そして、この味、実は日本人にとって、とっても身近で懐かしい味。 赤ちゃんの味・・・ (←赤ん坊を食べたわけでなく、赤ちゃんが食べるお菓子という意味ですっ。)

さて、このスペッタカーカと同じ味の、ある日本のお菓子(なんだろうか、あれは?)とは、何でしょうか?
ヒント: 原料は卵と砂糖と片栗粉です。 食べるときボロボロする。 赤ちゃんの味。
スウェーデン語とは
『ザ・ファイナル・カウントダウン』で一世を風靡した、スウェーデン出身のバンド、ヨーロッパ (EUROPE) のアルバムに収められていた1曲「チェロキー」から。
曲が始まる前、何故か(よせばいいのに)スウェーデン語で、” Nu ska vi spela (Now, we’re gonna play)! ” と言っているのですが・・・













