スウェーデン、スコーネ地方の民族衣装
夏至祭で夫の実家に行ったとき、押入れをごそごそ。 (いつも夫が使っていた部屋に泊まるので、そこのガードロープには私の私物も置いてある。) 取り出しましたのは、じゃーん、私のスウェーデン、正確にはスコーネ地方の、民族衣装です! 正式には、スカートの上に長いエプロンを付けます。

実は、私の花嫁衣裳であります。 義母による手縫いのハンドメイド品。 夫の家族は、昔フォークダンスを長いことしていたので、それぞれ民族衣装を持っていますし、義母は今では数少ない、民族衣装の仕立てができる人。
スウェーデンの教会で挙げた結婚式には、白いウェディングドレスではなく、ぜひ民族衣装を着たいという私の希望で、義母が一式縫ってくれたものです。 新しい布地から、伝統的な製法(つまり手縫い)で作るとなると、一式30万~50万円はします。 (私の場合仕立て料は無料で、布地もスカート以外はリフォーム。) こちらは裏側。

民族衣装なら、結婚式のときだけなく、一生着れるから・・・ と思ったのですが、結婚式以来着ていないなぁ。 だいたい取り出したら、重くて重くて、これ着てダンスなんて踊れません! (スカートは、フェルト地。)
でもせっかくなので、このスコーネ地方の民族衣装について、ちょっとご紹介したいと思います。
追記
日本の着物と同様に、スウェーデンで民族衣装は、正式な、公式な場で着れる正装となります。
スウェーデンの王妃や女王が着ている、またお土産としても売られている、青と黄色(スウェーデンの国旗の色)に白い花の刺繍が付いている民族衣装。 あれはスウェーデン全土の国民が着れるようにと、でっちあげ・・・ もとい、後に作られたもので、伝統的な民族衣装ではありません。
本物の民族衣装は、地域ごとに特色があり、異なります。 また、全て手縫いでないと、正式な伝統的な民族衣装と認められないそう。
民族衣装 シフトドレス

シフトドレスの胸の部分には、3文字のイニシャルと年号が刺繍されます。 左から「服の持ち主のイニシャル」、「その父親のイニシャル」、DかS。 D なら娘 (dotter) で、S なら息子 (son) という意味になります。 年号は、その服が縫われた年。

全て手縫い。 縫い方、刺繍の仕方にはそれぞれ名があり、正式な方法で縫わないといけません。

縫い目も飾りの一部なので、細かく真直ぐ、見た目きれいに縫わなくてはいけません。 私も真直ぐ縫うだけの、一番簡単な部分は自分で縫いましたが・・・ ひだを寄せたり、布の糸目を数えて縫い絞ったりは、義母の手によるものです。 本当に細かい手作業!
もちろん、ミシンで縫えば早いし、ミシン縫いで仕立てた民族衣装も多く出回っているよう。 そのようなものは値段が安いです。 新聞の「売ります」欄で、ときどき民族衣装も売りに出されていますが、値段で正式なものか否かが分かります。 義母は頼まれ、中古の民族衣装の見積もりもしますが、形がちょっとでも違ったり、一部でもミシンが使われていると、価値がなくなってしまうとか。
民族衣装 アクセサリー、ボディス、スカート

民族衣装の上に着るチョッキは、「ボディス(胴着)」と呼ばれます。 通常、絹の錦で、柄や模様は色々。 これは義母のお古を仕立て直しました。 元々の形が間違えていたからと、ほどいて、正しい形に作り直して。 (義母は胸が豊満なので、私のために仕立て直すのに、生地はタップリあった。)
「スカート」はフェルト地。 もうスウェーデンでは、このような生地は作っていないので、ハンガリーからの輸入品だとか。 これが高いのよ~! まぁ、たっぷりギャザーをよせたスカート一着分のフェルト地だから、そのだけの値段がして当たり前ですが。 (義母がヘソクリで購入してくださいました。 ああ、私は本当にお世話になりっぱなしのスネかじりです。)

また、このスカートが、重い・・・ ボディスとスカートはフックで留められています。 もちろん、スカートもボディスも手縫いです。 生地が厚いので、縫うのは大変だと思います。 (私が手伝うまでもなく、義母がどんどん縫い進めていって、夫は「そんなに早く結婚させたいのか?」と焦り、私が「こういうもの貰ってしまうと、もう結婚キャンセルできないねー」と言うと、「えっ、結婚したくないの!?」と慌てていた。)
全体像はこちら。 どちらもヴェルベットで、縁取りがされています。
これらの民族衣装は、昔、農家の人たちが着用していたもの。 工業化が進むにつれ、 スウェーデンの各地から姿を消してしまいました。 また民族衣装の様式は、「村落」により異なりますが、昔スウェーデン全土は、約300の村落に分かれていたそう。 私達の民族衣装は、 スコーネ地方でも北西に位置する "Luggude" と呼ばれる地域のものです。
民族衣裳 エプロン

白いエプロンはフォーマル用で、mormorの手により刺繍が施されています。 結婚式には、この白いエプロンを付けました。

通常身に付ける、カラフルなエプロンは、ハタオリ機で織ったもの。 こちらも mormor のお手製です。

エプロンのヒモの部分も、手織り。
Mormor は若い頃、機織の工場で働いていて、機織が大好きだったそう。 特に、布のデザインに関る部分、糸のセッティングが得意だったとか。 それは一番難しく、根気がいる仕事なのに!
スモーランドのBさんのようなハタオリ機を、mormor もスモーランドのサマーハウスに持っていて、織るのを楽しみにしていたけれど、年を取って目が悪くなってからは機織が困難になり、それをとても悲しんでいたそうです。
Mormor は、私がスウェーデンに来る数年前に亡くなったので、会うことはありませんでした。 でもいつも、夫の家族から mormor の話を聞いて、手作りと自然が好きだった mormor に会って、いろんなことを教えていただきたかったなぁ、と思うのです。
洗礼式のドレス Dopklänning

普段は教会とは無縁のスウェーデン人でも、生まれた子供には洗礼 (dop) を施し、きちんと洗礼用のドレス (dopklänning) を着せるもの。 一生に一度しか着ることのない洗礼式のドレスですが、(男の子がドレスを着るのも、これが一生に一度のこと? いや、そうとは限らないか・・・!) 家族の中で代々受け継がれることも多く、何人もの赤ちゃんが着続けている100年前のドレスという記事を新聞で見たことがあります。

ドレスは小さくて、そして裾がこんなに長―い。 どうして不必要に長いのか不思議に思っていたら、昔は幼児が洗礼式のとき着たドレスを、大きくなってから受ける堅信式のときに再び着るという意味があったからだとか。 (実際は着れないよねぇ?)
このドレスは、うちの子で3人目。 信じていないからと教会を離脱した、夫の兄さん夫婦の子供達は洗礼を受けなかった。
洗礼式についで、10代に入ってから行う堅信式も盛大に祝う傾向があるようで、姪っ子は自分がこの堅信式に参加できないと知ったとき、ちょっと怒っていた。
ドレスの下には、きちんと肌着も身につけます。

義母が「洗礼を受けるなら、まだあまり動かなくて大人しい生後3ヶ月以内に済ませた方がいいわよ」とアドバイス。 3ヶ月前に洗礼をした夫は、式の最中も大人しく問題なかったが、4ヶ月を過ぎてから洗礼式をした兄の方は、牧師の衣を引っ張るわ、水をかけるときに大泣きし抵抗し続けるわ(当時から教会に反発してたか)、大変だったそう。
ちょうど合う日程があり、4月某日にスウェーデンの教会で洗礼をすることになりました。












